まず、どのケースかを選んでください
- 今すぐの停電で「どれくらい保てるか」知りたい
→ 保冷時間の判断(8/12/24時間) へ
電源は入れず、扉はできるだけ開けない前提の目安です。 - ポータブル電源で“動かし続けられる時間(ランタイム)”を知りたい
→ 3分で計算 へ
ランタイム=機器が動作し続ける時間のこと。 - 飲食店など業務用で、開閉が多い・在庫価値が大きい
→ 業務用の注意点 へ
開閉頻度や断熱の違いを前提に、保守的な見積もりと運用のコツを整理。
※ 引越し・霜取りで計画的に電源を切る場合は、
「電源を切ってから何時間?(引越し・霜取り)」 へ
8/12/24時間の停電、判断ラインは?
まずは8/12/24時間の目安から確認します。
季節や扉の開閉回数などで実際の保ち時間は上下しますが、ここでは安全側に判断できるようシンプルに整理します。
注記(この章の前提)
- 本章は外部電源なしの「保冷時間の判断」を主に扱います。
- ポータブル電源で運転する(連続運転時間=ランタイム)場合は、3分で計算が専用の手順です。
8時間なら?
結論:開けなければ保てる可能性が高い。
- すぐやること
- 扉は開けない。確認は短時間だけ。
- 保冷材は上段(天井側)中心に足します。
- 吹出口・吸気口をふさがないよう並べ替えます。
- 扉は開けない。確認は短時間だけ。
- 迷ったら
- 温度計で短時間だけ確認(開けっぱなしは避けます)。
- 夏場は短くなりやすい前提で行動します。
- 温度計で短時間だけ確認(開けっぱなしは避けます)。
12時間は?
結論:要判断。環境(室温・開閉・詰め方)で結果が分かれます。
- すぐやること
- 扉の開閉は最小限に。
- 上段中心に保冷材、隙間が多ければ側面にも薄く。
- 吹出口・吸気口の前に物を置かない。
- 扉の開閉は最小限に。
- 迷ったら
- 温度を短時間確認し、開閉をさらに減らします。
- ここでは、電源なしで保冷を長持ちさせる方法が中心です。
外部電源の検討は「次の一手」で案内します。
24時間は?
結論:品質劣化のおそれが高い。点検と方針決めが必要。
- まず確認
- 液漏れ・異臭・包装のふくらみなど異常がないか。
- 点検は手早く。開けっぱなしは避ける。
- 液漏れ・異臭・包装のふくらみなど異常がないか。
- 次の一手
- 外部電源なしで継続する場合:
- 上段中心の保冷材追加/開閉の最小化を維持。
- 早めの調理・消費に切り替えも選択肢。
- 上段中心の保冷材追加/開閉の最小化を維持。
- 外部電源を使う場合:
- 3分でランタイム計算で連続運転時間(ランタイム=機器が動作し続ける時間)の目安を出します。
- 容量の比較(おすすめ容量帯へ)
500Whクラスを見る /
1000Whクラスを見る /
2000Whクラスを見る
- 3分でランタイム計算で連続運転時間(ランタイム=機器が動作し続ける時間)の目安を出します。
- 外部電源なしで継続する場合:
- 備考
- 夏場や開閉が多い環境では、ここまで保てないことがあります。常に短めで見積もってください。
3分で連続運転時間を計算(見積もり用の計算式)
前提:この章はポータブル電源で冷凍庫を運転する場合の計算です。
外部電源を使わない(保冷だけ知りたい)ときは → 8/12/24時間の停電、判断ラインは?
クイック計算例(ご自宅のkWh/年から目安時間を探す)
まず、本体ラベルの「年間消費電力量(kWh/年)」に近いケースを選びます。
ポータブル電源の容量(Wh)ごとに、動かし続けられる時間(ランタイム)の目安が分かります。
(※ランタイム=機器が動作し続ける時間。結果は時間・分で表記)
ケースA|200 kWh/年(平均W ≒ 23W)
- 500Wh:14時間47分(= 500×0.68÷23)
- 1000Wh:29時間34分
- 2000Wh:59時間08分
ケースB|250 kWh/年(平均W ≒ 29W)
- 500Wh:11時間43分(= 500×0.68÷29)
- 1000Wh:23時間27分
- 2000Wh:46時間54分
ケースC|300 kWh/年(平均W ≒ 34W)
- 500Wh:10時間00分(= 500×0.68÷34)
- 1000Wh:20時間00分
- 2000Wh:40時間00分
結果の見方(8/12/24時間と照合)
例:14時間47分 → 「12時間は概ねクリア/24時間は難しい」。
計算は「扉を開けない」前提です。夏場や開閉が多いと短くなります。
くわしくは → 8/12/24時間の停電、判断ラインは?
手順1:本体ラベル(定格表示)を確認
控える数字
- 年間消費電力量(kWh/年)
- 定格/消費電力(W)(あれば)
- 型式名(後で調べる用。写真推奨)
※迷ったら kWh/年だけでもOK。
手順2:平均Wの仮置き(kWh/年→W換算)
平均W ≒ 年間消費電力量(kWh/年) × 1000 ÷ 8,760
※ 8,760時間=365日×24時間。迷うときは少し大きめ(安全側)に丸めます。
暗算メモ: 1000 ÷ 8,760 ≒ 0.114(頭の中で計算したい時だけ使います)
目安:150→約17W/200→約23W/250→約29W/300→約34W/350→約40W/400→約46W
安全側にしたいときは+1〜2W上乗せして再計算。
手順3:見積もり用の計算式で算出
手順3で使う用語の解説:
- 合計W=手順2の平均W
- 連続運転時間(ランタイム)=機器が動作し続ける時間
- 実容量Wh=ポータブル電源の実際に使える容量(公称値より小さくなることがあります)
見積もり(安全側)の式
連続運転時間(時間)= 実容量Wh × 0.68 ÷ 合計W
(参考:理論値= 実容量Wh × 0.85 ÷ 合計W)
※ 0.68=変換効率0.85 × 安全マージン0.8
手順4:結果の読み方(8/12/24時間と比べる)
- 12時間を超えるかが最初の目安。迷うときは1段短めに評価。
- 小数は分に換算(例:0.78時間 × 60 ≒ 47分)。
手順5:次のステップ(内部リンク順)
- 診断:もう一度計算 → 3分で連続運転時間を計算
- 比較:ポータブル電源の容量帯の確認 →
500Whクラスを見る
1000Whクラスを見る
2000Whクラスを見る
次にやること(目的別)
- 保冷の目安 → 8/12/24時間の停電、判断ラインは?
- もう一度計算 → 3分で連続運転時間を計算
- 容量を選ぶ → 500Whクラスを見る / 1000Whクラスを見る / 2000Whクラスを見る
- 業務用のコツを確認 → 業務用冷凍庫の注意点
- 保存のコツ → 「保存順序・開け方」を見る
電源を切ってから何時間?(引越し・霜取りの目安)
※この章は計画的に電源を切る(引越し・霜取り)前提です。
外部電源は使わない運用が基本の方向けです。
ポータブル電源で運転する場合は、3分で連続運転時間を計算 も合わせてご確認ください。
電源を切った直後〜再通電までの目安
結論:作業時間を決める/扉は開けない/確認は短時間だけ。
- まず、作業にかける時間の目安を決め、家族と共有します。
- 電源を切った時刻をメモしておくと、再通電の判断がしやすくなります。
- 扉は基本開けないのが安心です。点検は手早く。開けっぱなしは避けます。
- 保冷材は上段(天井側)中心+側面に薄く。吹出口・吸気口は塞がないよう配置します。
- 引越しで移動した場合は、設置後に取扱説明書の指示時間(例:数時間)を待ってから通電します(故障予防)。
(補足:待機時間は機種や輸送姿勢で数分〜24時間と幅があります。必ず取扱説明書に従ってください。例:パナソニックは据付後7分以上、横倒し輸送の事例では24時間待機を案内するメーカーもあります。) - ポータブル電源で運転する予定がある場合は、3分で連続運転時間を計算 で
連続運転時間(ランタイム=機器が動作し続ける時間)の目安を出すと計画が立てやすくなります。 - 外部電源を使わない場合は、判断ラインは? の8/12/24時間の目安と、短時間の温度確認を基準に、開閉を最小にしてください。
再冷却のコツと保冷材の使い方
結論:上から冷やす/通り道を作る/開けない。
- 上段中心+側面に薄く保冷材を配置します。下段だけに偏らせません。
- 食材は詰めすぎない(目安7〜8割)。冷気の通り道を残し、吸気口・吹出口は塞がない配置に。
- 温度が安定するまでは開閉は控えめに。確認は短時間で。
- 余裕があれば、よく冷えたペットボトルを入れて“冷たい塊”を増やすと、庫内の温度が上がりにくくなります。
- (ポータブル電源を使う場合)見積もりを厳しめにしたいときは、3分で連続運転時間を計算 の計算で平均Wを+1〜2Wして再試算すると安全側になります。
こんな時はすぐ開けて点検
結論:異常サインがあれば短時間で点検。安全を優先。
- 液漏れ・異臭・包装の膨らみがある。
- 表面が柔らかい、ドリップ(解凍で出る肉や魚の汁)が見える。
- 再通電後も温度が下がらない/冷えが弱い。
- 通電前にプラグ根元の焦げ・ホコリ(トラッキング)が見える。
点検は手早く行い、必要に応じて加熱・早めの消費、判断が難しければ処分も検討します。
清掃や点検は、必ずプラグを抜いてから実施してください。
引越し先ですぐ通電できない事情(例:電気の開通待ち)がある場合は、
500Whクラスを見る / 1000Whクラスを見る / 2000Whクラスを見る を参考に、
ポータブル電源で一時的に運転する方法も検討できます。
業務用冷凍庫の注意点(家庭用との違い)
小規模飲食・惣菜店などを想定し、開閉が多い/在庫価値が大きい現場での見積もりと運用の要点をまとめます。
まずは保冷で粘る → 長引くなら外部電源へ。見積もりは保守的(安全側)に進めます。
開閉頻度と断熱の違いを前提に
結論: 業務用は開閉が多く、家庭用より温度が上がりやすい。開閉ルールと配置でブレを抑えます。
- 開閉はまとめて短時間で。探す物は手前・上段へ。
- ドアパッキンのすき間・劣化を点検。
- ビニール(ストリップ)カーテン等で外気侵入を軽減。
- 詰め方は7〜8割を目安。冷気の通り道を確保。
- 吸気口・吹出口はふさがない。
- 12時間は“要判断”になりやすい(開閉が多いほど短くなる) → 「電源なしでどれくらい“もつ”?」を参照。
運用ログの取り方(記録と調整)
結論: 温度の記録が、後の見積もり・調整の土台。
- 方法:温度ロガーが理想。なければ温度計+メモでもOK。
※ 温度ロガー=一定間隔で温度を自動記録する小型機器(スマホ連携型でも可) - 記録:日時/庫内温度(最小・最大)/開閉が多かった時間帯/特記事項
- 見直し:週1回。下記の係数(0.55/0.60/0.68)や間欠運転(例:30分運転→30分休止)の配分調整に使う
見積もり係数はさらに保守的に
停電が長引きそう(12時間超が見込まれる)と判断したら、ここからは外部電源(ポータブル電源)で運転する前提に切り替えます。
結論: 業務用は 0.60 を基準。開閉が多い現場は 0.55 も検討。
扉をほとんど開けない運用に近い“上限”として 0.68 も併記します。
(係数=変換効率×安全マージンの安全側見積もり。開閉が多いほど係数は小さめ)
用語の再確認
- 実容量Wh:ポータブル電源の実際に使える容量(公称より小さくなる場合あり)
- 合計W:冷凍庫の平均消費電力
- 算出式(目安):平均W ≒ 年間消費電力量(kWh/年) × 1000 ÷ 8,760(= 約×0.114)
- 例:300 kWh/年 → 約34 W
- 容量帯:ポータブル電源の蓄電容量(Wh)のクラス分け(例:1000Wh/2000Wh)
見積もり式(外部電源を使う場合)
- 連続運転時間(時間)= 実容量Wh × 係数 ÷ 合計W
- 係数の目安:0.55 / 0.60 / 0.68(頻開→0.55、標準→0.60、ほぼ無開閉→0.68)
- ※ 外部電源を使わない場合は、「電源なしでどれくらい“もつ”?」へ
使い方のポイント
- 0.55/0.60/0.68 の3通りで並べて計算し、短い結果を採用すると安全側。
- 生鮮肉・魚・乳製品などの高リスク品は、さらに20%短めに(理由:温度上昇に弱く、品質劣化・食中毒リスクが高いため)。
- 例:(ポータブル電源の)実容量=1000Wh、係数0.60、(冷凍庫の)合計W=80W → 約7時間30分(現場の開閉や室温で短くなることがあります)
- (任意)突入電力に余裕のあるインバーターだと安定しやすいので、定格出力だけでなく瞬間最大出力(サージ)の数値も確認してください。
※ 始動時の突入電力=コンプレッサーが起動する瞬間だけ一時的に大きくかかる電力(通常運転の約2〜3倍が目安)。
容量帯の目安と在庫価値の損失最小化
結論: 先に“守る在庫”を決める。必要時間から容量を選び、間欠運転・移し替えで被害を抑える。
- 優先順位:高単価・高リスク品から守る
- 間欠運転:例)30分運転→30分休止。温度ログに合わせて調整(上がる→運転長め/安定→休止長め)
- 移し替え:高リスク品はクーラーボックス(厚手保冷バッグでも可)+保冷材へ一時退避
- 事前の予冷:閉店前に設定をやや低めに。温度の“貯金”を作る
容量帯の目安(= ポータブル電源の蓄電容量クラス)
- 1000Wh:小規模の短時間の橋渡しに
- 2000Wh:深夜〜朝の復旧待ちに余裕を持たせたいとき
- (より長時間なら、連結運用/追加バッテリーも検討)
次のステップ
- 比較:
1000Whクラスを見る
2000Whクラスを見る - 関連HowTo:冷蔵庫×停電の実践ガイド(開け方・保存順序の再確認)
保存のコツと安全チェック(短縮TIPS)
基本は開けない/詰めすぎない/冷気の通り道を作るの3点です。
保冷材の置き方と異常サインの見方を短く整理します(詳しくは「保存順序・開け方」をご参照ください)。
開けないルールと詰め方
結論:開けない。中身は“7〜8割”。通り道を残す。
- 用事はまとめて行い、開ける回数と時間を減らします。
- 探す物は手前・上段へ。開けている時間を短縮。
- 中身は詰めすぎない(7〜8割)。冷気の通り道を必ず残します。
- 吸気口・吹出口(冷気の出入口)はふさがない配置にします。
- ドアパッキン(扉のゴム縁)の汚れ・劣化は密閉低下の原因。軽く拭き、すき間を点検します。
保冷材の置き方(上・側面を塞がない)
結論:上部を中心に冷やす。側面で補助。風の通り道は確保。
- 保冷材は上部(上段・天井側)中心に。冷たい空気は下にたまりやすいため、上から冷やすと全体が安定しやすくなります。
- 側面にも薄く入れると温度が安定しやすいです。
- 吸気口・吹出口の前には置かないこと。循環が弱まります。
- よく冷やした(凍らせた)ペットボトルは“冷たさのストック”になります。
※入れ過ぎによる破裂を避けるため、8〜9分目を目安に。 - 点検は短時間で。開けっぱなしは避けます。
危険サイン(解凍の兆候/異臭/液漏れ)
結論:異常に気づいたら短時間で点検。安全を優先。
- 表面が柔らかい、霜が大きく溶けている。
- ドリップ(解凍で出る肉や魚の汁)が見える、トレーや袋の底に液体がたまる。
- 異臭がする、包装が膨らむ。
- 温度計が −18℃を大きく上回る(家庭用の推奨保管温度の目安)。
- 上記のときは手早く仕分け。加熱して早めに使う/品質が不安なら処分を検討します。
- 点検後はしっかり閉める。開け時間の短縮を心がけます。
- ここでの数値は目安です。室温や開閉状況で持ち時間は短くなりやすい点にご注意ください。
(参考:ドリップの発生や包装の膨らみ・漏れは廃棄を含め注意が必要と公的ガイドでも示されています。温度計での確認と合わせ、迷ったら安全優先に。)
FAQ(よくある質問)
検索で多かった疑問に簡潔にお答えします。
kWh/年しか分かりません。平均Wは?
結論: 年間消費電力量(kWh/年)× 1000 ÷ 8,760 で平均Wの目安(≒ ×0.114)。
※ 8,760時間=365日×24時間。迷うときは少し大きめ(安全側)に丸めます。
暗算メモ: 1000 ÷ 8,760 ≒ 0.114(頭の中で計算したい時などに使ってください)
式: 平均W ≒(年間消費電力量 kWh/年)× 0.114
例: 150kWh/年→約17W/200→約23W/250→約29W/300→約34W
メモ: 迷ったら少し大きめに丸める=安全側(あとで計算する運転時間が短めに出るため、過大評価を避けられます)。
詳しい手順は 3分で連続運転時間を計算 へ。
(ポータブル電源で運転する場合)旧式(10年以上)や600kWh/年以上の冷凍庫の連続運転時間はどう計算する?
結論: 旧式は消費が大きめ。短めに見積もると安全です。
- まず 年間消費電力量×1000÷8,760 で平均Wを出します。
例:300kWh/年 → 約34W - 連続運転時間(機器が動作し続ける時間)は
実容量Wh × 0.60 ÷ 合計W(または 0.55)で試算。
※ 0.60/0.55=安全側の係数(0.68より短めに出ます)。
※ 実容量Wh=ポータブル電源の実際に使える容量の目安。
例: 実容量1000Wh・合計W=40W → 約15時間(=1000×0.60÷40)
注意: 夏場や開閉が多い現場はさらに短めを想定。
詳しい手順は 3分で連続運転時間を計算 へ。
(外部電源を使わない場合)電源を切ったままどれくらい保てる?
結論: これは保冷時間の話です。温度と状態で判断。
- 開けないが基本。確認は短時間で。
- −18℃維持なら良好の目安。
- ドリップ(解凍で出る肉汁)・異臭・包装の膨らみは注意。
- 温度不明・不安なら加熱して早めに消費。判断できなければ処分も選択肢。
詳しくは 8/12/24時間の目安 を参照してください。
※ ランタイム(ポータブル電源で動かす時間)を知りたい場合は 3分で連続運転時間を計算へ。
8/12/24時間の分岐は?
結論: 8h=多くは可/12h=要判断/24h=リスク高。
- 8時間: 開けなければ保てる可能性が高い。
- 12時間: 判断ライン。環境で結果が変わります。
- 24時間: 危険域。状態確認と取扱いに注意。
詳しくは 8/12/24時間の目安 へ。
夏場の注意(室温補正)
結論: 夏は短くなりやすい。余裕を持って計算。
- 室温が高いほど保冷時間は短縮しがち。
- (ポータブル電源で運転する場合)見積もりは 係数0.60(または0.55) を優先。
- 平均Wは +1〜2W 上乗せして再計算すると安心。
- 保冷材は上部中心。開ける回数は最小に。
- 迷ったら 3分で連続運転時間を計算 で再試算してください。
(根拠は「この記事の計算根拠」参照。性能試験でも周囲温度を固定して評価します。夏は室温が高く、保冷時間が短くなりやすい前提が安全です。)
この記事の計算根拠・免責事項
1) 平均Wの近似式について
- 本記事では、機器の平均消費電力(平均W)を「年間消費電力量(kWh/年)×1000÷8,760(≒×0.114)」で近似します。
これは「kWh(=kW×h)」というエネルギーの定義と、年間=8,760時間(365日×24時間)に基づく素直な換算です。米国エネルギー情報局(EIA)はkWhの定義を明確にしており、年消費量を時間で割れば平均出力(W)の目安が得られます。なお、国内の年間消費電力量はJIS C 9801-3に準拠して測定・表示されます。
2) 係数0.68(= 変換効率0.85 × 安全マージン0.8)について
- ポータブル電源でAC出力を使う場合、電池のDCをACへ変換する際のロスが生じます。大手メーカーの公開説明や各種資料では「実用上の目安として0.85(85%)程度」の効率係数を用いたランタイム計算式が広く案内されています(例:Jackeryの公式FAQ)。
- さらに、現場では起動時サージ、ファン・待機電力、負荷の揺らぎ等で“机上値より短くなる”ことがあるため、安全マージンとして0.8(=20%引き)を重ねます。UPS分野でも20〜30%のヘッドルームを推奨する公式ガイドが一般的で、同趣旨です(APC/Schneider、CyberPower)。本記事の0.8は“過大評価を避けるための保守係数”として位置付けています。
- 以上より「0.68=0.85×0.8」は、変換ロスと安全側の運用を同時に織り込んだ“現実的な見積り係数”として妥当と考えます。
3) 「夏場は保冷時間が短くなりやすい」根拠
- 冷蔵・冷凍機器の試験では、周囲温度(室温)を規定して性能を評価するのが国際規格の基本です。国際規格IEC 62552およびJIS C 9801-3では、16℃と32℃など複数の周囲温度でエネルギー消費や温度上昇等を評価します。これは周囲温度が性能・消費に直接影響するためです。
- 日本の制度運用上も、年間平均の周囲温度設定を見直すなど、実使用の温度条件の影響を考慮して指標化されています。したがって周囲温度が高い夏は、温度上昇が進みやすく“保冷できる時間が短くなる”方向に働くと理解するのが合理的です。
4) 引越し後の「通電まで待つ」推奨の根拠
- 横倒し・傾け輸送など、移動条件によっては通電まで“数分〜24時間”の待機がメーカーから指示されます。例:パナソニックは据付後7分以上の待機を記載(一般的な縦運搬・据付直後のケース)。一方、海外メーカー(例:Whirlpool)は横積み輸送時は24時間待機と案内する資料があります。モデルや輸送姿勢で待機時間が大きく変わるため、取扱説明書の指示を最優先してください。
5) 「危険サイン(ドリップ/包装の膨らみ)」の根拠
- 食中毒予防の観点では、解凍に伴うドリップや包装の膨らみ(ガス発生)は注意サインです。米国政府の公的ガイド(FoodSafety.gov/USDA/CDC)では、停電時の取り扱い・0°F(-18℃)を超えた状態・2時間ルール等、廃棄判断・再冷凍可否の基準が整理されています。漏れ・膨らみ・異臭がある場合は廃棄を含め安全側の判断が推奨されています。
免責:ここで示す数式・係数は目安の見積もりです。
実際の連続運転時間/保冷時間は、機種差・庫内量・開閉・室温・経年劣化・環境要因で変動します。
最終判断は温度計(-18℃維持)と食品の状態(外観・臭い・ドリップ有無)で行い、迷う場合は安全を優先してください。
参考・出典
- 消費者庁「電気冷蔵庫」表示ガイド(JIS C 9801-3準拠の表示項目)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/electric/electric_05.html - 経済産業省/日本電機工業会:JIS改正のポイント(PDF)(試験方法・周囲温度の取り扱い等の背景)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/denki_reizoko/pdf/001_s01_00.pdf - JIS C 9801-3(家庭用電気冷蔵庫・冷凍庫の特性・試験方法 第3部)(規格番号の明記/書誌情報として)
参考解説(日本電機工業会): https://www.jema-net.or.jp/living/reizouko/knowledge7.html - IEC 62552(国際規格)概要ページ(IEC Webstore)
- IEC 62552-1:2015(総則・試験の基本) https://webstore.iec.ch/en/publication/21805
- EIA(米国エネルギー情報局)Glossary:kWhの定義(平均W算出の前提)
https://www.eia.gov/tools/glossary/index.php?id=K - Jackery公式:ポータブル電源の使用時間の計算(0.85の扱いの例)
https://www.jackery.jp/blogs/power-station/using-time-of-power-station - EcoFlow公式ブログ:持ち時間の計算式(×0.8の実用目安)
https://blog.ecoflow.com/jp/portable-power-station-runtime-calculation/ - APC by Schneider Electric:UPSの容量設計(余裕=約80%運用の推奨)
https://www.apc.com/us/en/faqs/FAQ000268376 - GE Appliances:After Transporting Your Refrigerator(横積み時は最長24時間待機の目安)
https://products.geappliances.com/appliance/gea-support-search-content?contentId=16603 - Whirlpool:How to Install a Refrigerator(横積み→到着後24時間は通電しない)
https://www.whirlpool.com/blog/kitchen/how-to-install-a-refrigerator.html - パナソニック公式FAQ:電源再投入時の注意(約7分待機の指示)
https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/9838/
関連:運搬・移動時の注意 https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/9829/ - FoodSafety.gov:Food Safety During Power Outage(冷蔵4時間/冷凍24–48時間の目安)
https://www.foodsafety.gov/food-safety-charts/food-safety-during-power-outage - CDC:Keep Food Safe After a Disaster or Emergency(保冷時間の目安・扉は閉める)
https://www.cdc.gov/food-safety/foods/keep-food-safe-after-emergency.html - USDA FSIS:Refrigeration & Food Safety(40°F超で2時間超は廃棄の一般原則)
https://www.fsis.usda.gov/food-safety/safe-food-handling-and-preparation/food-safety-basics/refrigeration - FDA:Low-Acid Canned Foods検査ガイド(缶の膨らみ=ガス発生等の危険サイン)
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/inspection-guides/guide-inspections-low-acid-canned-food-47-0
市販ポータブル電源の「UPS/EPS/バススルー」は多くが瞬断(数十ミリ秒程度)を前提としており、無瞬断を保証するものではありません。機器によっては再起動・誤作動・故障のリスクがあります。生命維持・治療継続が必要な機器については、メーカーが案内する純正または推奨の外部電源・バッテリー・無停電電源構成の利用を検討してください。
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